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2020.12.18
複合材3Dプリンティングで生み出す材料の新機能
大学院理工学研究科 / 講師 水上 孝一(みずかみ こういち) / 専門:複合材料工学

※記載内容は掲載当時のものです。

繊維複合材料メタマテリアルの3Dプリンティング

研究の概要

 私の研究室では、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)という材料の性質と工業への応用について研究しています。
 CFRPは炭素繊維と樹脂から成る繊維複合材料です。CFRPは軽量でありながら剛性と強度が非常に高いという特長をもっています。そのような優れた機械的特性から、航空機、自動車、鉄道車両などの輸送機器や、産業用ロボット、タンク、風力発電用ブレードなど様々な分野で構造材料としての適用が拡大しつつあります。より身近な製品では、自転車や釣り竿などにもよく使われています。

 近年、CFRPを成形するための3Dプリンティング技術が登場しました(図1)。3Dプリンティングでは、炭素繊維フィラメントと溶融した樹脂を積層していくことで複雑な形状の部材を成形することができます。従来の成形法では平板や円筒などの簡単な形状が主に成形されていたため、複雑な形状のCFRP部材を作れるようになったことはものづくりの分野では非常に革命的でした。
 私の研究室では、CFRPの3Dプリンティング技術を利用して、CFRPに軽くて強いだけでなく、新たな機能を持たせようとしています。具体的には、弾性波メタマテリアルという、振動を透過しない構造の造形に取り組んでいます(図2)。メタマテリアルとは、材料が自然には持ちえない性質を有した人工材料を指します。CFRP部材の形状?寸法や、含有される繊維のパスをうまく設計すると、特定の周波数帯の振動の透過を阻害できるようになります。振動の低減は、機器の寿命や精密動作性、騒音の低減という観点で、機械工学では非常に重要なトピックです。
 このようなCFRPメタマテリアルを、企業とも連携しながら、産業用機器、航空、船舶、建築などの分野に適用を試みています。

 

研究の特色

 弾性波メタマテリアルを実現するためには、先述のように、CFRPの適切な形状、繊維パスを選択する必要があります。しかし、作製可能な部材のパターンは無数に存在するため、どのような形状?寸法が最も用途に合った振動減衰性能を有するかを、人が直感的に把握することは極めて困難です。
 そこで、本研究では、有限要素法というシミュレーション手法と最適化アルゴリズムを組み合わせて、計算によって最適なメタマテリアルを探索しています。これによって膨大な形状?寸法パターンや繊維配置パターンの中から、最も用途に合ったCFRPメタマテリアルを短時間で設計することができます。
 私の研究室では、そのようなメタマテリアルの設計アルゴリズムを、数学、物理学、材料力学、振動?波動学、電磁気学を幅広く融合して開発しています。

研究の魅力

 自ら作った設計アルゴリズムの計算によって、優れた性能のメタマテリアルを実現できるようになることは、この研究の大きな魅力の一つです。
 設計アルゴリズムをプログラミングすることは、いわば設計者の頭脳を創り出していることになります。自分の頭では思いもつかないような形状のCFRPメタマテリアルが最適解として導かれ、実際に造形して設計通りの優れた性能を示したときには、毎回とても感銘を受けています。
 振動の抑制は古くから研究されてきた分野で、すでに様々な技術が存在しています。しかし、CFRPメタマテリアルが剛性?強度に加え、振動減衰性能についても既存の制振技術より上回る側面が十分にあるということが、これまで明らかになってきています。これによって、既存の制振構造を改善できるほか、構造上の制約から既存の振動減衰手法が使えなかった箇所にも新たな振動減衰機構として適用できる可能性が出てきました。
 産業の中で、振動が問題となるシーンは様々に存在し、適切な解決策も事例によって大きく異なります。それぞれの課題に対して数値解析技術を駆使して解決策を提案し、産業での問題解決に貢献することもこの研究のやりがいの一つと考えています。

今後の展望

 数値解析によって、性能の良いメタマテリアルを設計することは可能になっていますが、出来上がったメタマテリアルのどのような形状と繊維配置が優れた振動減衰性能に寄与しているかということは、まだわかっていない部分があります。そのため、物理学的な考察から性能の良いメタマテリアルの特徴を把握し、定式化することも進めています。これによって、振動減衰のメカニズムの詳細を明らかにすることや、より効率的な設計アルゴリズムの確立が可能となることが期待されます。
 また、CFRPの3Dプリンティング技術が広く利用されるためには、設計アルゴリズムのプログラミングについて詳細な知識が無くても、ユーザーが構造を設計できる数値解析システムが必要であると考えています。ユーザーが要求する剛性?強度、振動減衰性能、幾何拘束を入力するだけで、望ましい構造を簡単かつ正確に提案するようなソフトウェアの開発も、産業と連携しつつ目指しています。

この研究を志望する方へのメッセージ

 複合材料工学では、様々な学問分野の知識を融合して、複合材料の設計、成形、使用といったライフステージにおける課題解決を図ります。そのため、高校、大学で勉強する数学、物理、工学の専門科目を幅広く利用します。専門的な分野の技術資料や、書籍、論文は英語のものも多いので、英語の勉強も非常に重要です。
 研究に携わると、勉強してきたそれらの科目がいかに役立っているかということが非常によくわかるようになります。そのため、今は、どんなことに役に立つのだろう、と思う勉強も、それを生かせるようになる時を楽しみにしながらぜひ取り組んでみてください!